「おおかみこどもの雨と雪」はエロい -ネタバレあり-

見てきた.結論から言うととても良い作品だった.

映画館で見れてよかったなぁと思うし,ふとした時に家で見られたら素敵だろうと今からワクワクしている.何と言っても映像がすごい,背景画がそのまま風のように動くさまは圧巻である.

 

以下ネタバレ込で感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"エロティックな"映画だった.

何というか,映画のメインに据えられている"花"ちゃんが,幼い生少年"雨"くんが,人間として生きるためにいじらしい努力をしていく"雪"ちゃんが,とても艶っぽい場面が多くてすげえと,思った.

 

異種交配(というか獣姦)や,男の子と女の子の成長過程,老人だらけの田舎に若い美人の未亡人がくるなど,設定からして何となく根底に性を意識せざるを得ない部分があって,加えてそれを補強するかのようなデザインが随所にみられる.

おおかみの旦那は薄着だし,花は謎に体のラインを見せる服装だし,雨クンは華奢な美少年(カズマー)だし,雪ちゃんはパンチラ(幼女時代)×肌の露出(少女時代)が無駄に多い.

細田監督の変態妄想が惜しみなく発揮され,観客もうすうす感づいてひそかに興奮する,という図式があるのは明白だ.なんだこのケシカラン映画は!!!

 

んで,エロティックなこの映画ですが,ちょっと堅苦しく解釈すると,

「むっつりエロスで観客を釣っている」

という要素だけではないだろうな,とは思った.(エロ要素は十分あるので絵師の皆様は細田さんと観客の期待に応えて薄い本をたくさん書いてください(真顔))

 

 

 

たぶん,性を意識させることは物語と無関係ではなくて,性の大きなチカラみたいなものが下地となって支えているからこそ

生まれて,ひとり立ちして,子供を産んで,育てて,別れて,見守る

という登場人物たちの行為に力強さとリアリティが加わるんだと思う.

子供がセックスの産物である以上,「子育て」というのは元来,性とは切り離せない.でも,通常のやりかただったら,父ちゃんが腰振ってるシーンがあるとか,母ちゃんの喘ぎ声があるとか,子供の性の目覚めのシーンがあるとかの描写が入って,そのシーンがエロス単体で機能しすぎてしまったり,白々しい演出になるのかなと思う.

どうにか「エロくないのにエロい」という状況を健康的に成立させたい.その結果,上記の「おおかみ」&「むっつりエロス」となって具現化しているのではないか.

 

 

「おおかみ」は野獣で,どうぶつだ.

アニメーション表現での「こども」は丸っこくて,二頭身で,可愛らしさの象徴なんだけれど,実際の「子供」は,はっきりと動物的で,獣以外の何物でもないものから発生していく.

 

子供が育つ(育てる)というものは,観客含め全ての人間が通らなくてはならない(通ってきた)イベントであるわけだから,物語の構成や設定って本当に難しいと思う.「おおかみこども」がいろんな世代の人に納得性の高いものに仕上がっているのだとしたら,それは人間の世界にもおおかみの世界にも共通する,大きな活力のある性を背景に敷くことに成功しているから,というのがあるんじゃないかと思う.

 

(子育て終わったかわいい花ちゃんがこれから未亡人として次の人生を歩むと思うとハァハァ...)

 

ぼくはラストの「雨の独り立ち」シーンにとても感動したんだけど,この感動には絶対エロスが効いてる,とおもう.

雨の発見した生き方は「愚かな人間か偉大な自然か」みたいな単純な二項対立への葛藤ではなくて,自分がみつけた世界に価値を見いだし,自分の役割を発見して,自分でその世界で生き抜く,というものだ.

「先生がやっていたことを,誰かが代わりにやらなくてはならない」(うろおぼえ)

という雨のセリフは"山の秩序"を象徴している.花には,やっぱり"山の秩序"を理解できるはずはないのだけれど,"山"を選んだ雨を最後にちゃんと強く肯定してあげて,寄り添うように生きる(見守る)ことを選択する.花は,絶対に理解することはできない他人の世界の存在を想像し,かつ許容する強さを持っている人間だ.

 

 雨くんの生き方をちょっと引いて見れば,学校になじめなくてネットばっかりやっててネトゲの神(せんせい)に出会って師事して,ギルドの運営とか勉強して,ネトゲの世界に居場所を見出す"おまえら"とほとんど一緒.仮に自分の子供がネット世界で生きる才能を持っているのだという事実を知ったとしても,許容できるほど,現実の親は強くも甘くないんだけど,幻想「おおかみこども」が説得力をもつのは登場人物が活力ある性に満ちているからだ.と思う.

 

花ちゃんはバイタリティ的にも超人で,最後のシーンは肋骨絶対逝ってるにも関わらず超笑顔.大根も米も,普通はぜったいあんなに持てない.家の修繕だって,子連れで一人でやるのは無理ゲー.なんかホワイトアウト思い出す.なのにキャラデザはむしろ華奢.そんなおにゃのこが体のライン見せながら農作業やるっていうのが,ラストに絶対効いてる.この花ちゃんだったら,雨クンだったら,雪ちゃんだったら,「活力ある性を謳歌するこの人たちならば」こういう美談は成立しうる,って無意識に刷り込んでくる.すごいな細田さん.

 

 

と「むっつりエロス」を超解釈してみたのでした.

 

 

たぶん,「おおかみ」を使うことには必然性がある.言い過ぎを承知で言えば,むっつりエロスを薄い本を書かせるためだけのむっつりだけで終わらせないためには「おおかみ」でなくてはならない.

 

 

 長いしgdgdになってきたから終わり.

 

 

ちなみに,お花畑の精神世界?で咲いている花はたぶんイチリンソウ.花言葉は追憶.

いやぁ,花ちゃん素敵すぎるでしょう.